今回は、オリバー・バークマン 著、高橋璃子 訳の「限りある時間の使い方」(かんき出版)を読んだ感想を述べたいと思います。全米ベストセラーという帯に流されて購入しましたが、この本はいわゆる時短テクニックの指南書ではありません。時間を効率良く使おうとするのではなく、”活きた”時間をどのように生み出すべきか、考えさせられる内容になっています。何度も何度も夢中になって読みましたが、未だに一つの答えは見つかっていません。その時々で自分の答えは変化してくるし、時間との向き合い方は、生きている限り、常に考え続ける必要があるのだと考えています。絶対的な答えはありませんが、本書に書いてあることは、自問自答するためのヒントを沢山与えてくれます。私が特に感銘を受けた内容を以下に記していきます。
まず、人生において大事なことをやるために、時短テクニックを駆使して、タスクをこなしていって、時間の余白を空けても、いつまでも、その大事なことをやる時は来ないということを筆者は述べています。様々な能力・スキルを身につけて、完全体の自分を作り上げてから、本当の人生が始まるのだと、現代人は考えているとも書いてあります。
言われてみれば確かに、いつも、未来のあるべき姿のために時間を使っていませんか?これでは、いつまで経っても準備の人生になってしまいます。こんな小話が掲載されています。
1日2~3時間しか働かず、太陽の下でワインを飲んだり、仲間と楽器演奏を楽しんでいるメキシコ人の漁師がいました。そこへアメリカ人のビジネスマンがやってきてアドバイスします。
ビジネスマン:「もっと働いて、利益を出して、漁船を買って、人を雇って、数百万ドル稼げば、あなたは引退できる」
漁師:「引退して何するんだ?」
ビジネスマン:「太陽の下でワインを飲んだり、仲間と楽器演奏したりできるじゃないか!」
ビックリするくらいアホらしい話ですが、よく考えてみると、皆さんも似たようなことしていませんか?
本当は準備なんてしなくても達成できることなのに、変に準備が必要だと思い込んで、なかなかゴールにたどり着かない。
”なぜやりたいことをやりたくないのか”という章がありました。私はこの言葉、とてもしっくりきました。なぜ人はすぐにやりたいこと、やるべきこと、ゴールに着手しないのでしょうか?
本書では、有限性に直面するのを避けているのだと結論付けています。時間が限られていること、能力が限られていることを認めるのを怖がり、現実を受け止めないでいるのだそうです。結果を出さないままでいる。
解決策はそのままですが、時間は限られていて、なんでもかんでもはできないこと、能力は限られているし、完全完璧な人間にはいつまでもなれないことを認めて、いい意味であきらめるということです。本書では冷たいシャワー(現実を認識して)で目を覚ませと題しています。
あきらめの先に、本当にやるべきことが見えてくるのではないでしょうか。
本書では、他にも様々な時間の考え方が記載されています。本記事をみて、気になった方は一読してみて下さい。
私見ですが、目標達成のために準備(プロセス)は必要になるケースはたくさんあります。ただし、このプロセスが苦痛に満ちたものであったり、日々を犠牲にしている感覚を与えるものであれば、すぐに辞めた方が良いと思います。目標を設定したとしても、達成できるかどうかは、努力以外の不確定要素(運)が大きく関わってきます。目標達成できたか、できなかったかで人生を図るよりも、プロセスが楽しめたかどうかが重要だと私は考えています。
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